研究概要 |
軽量、超弾性、生体適合性などの機能面から形状記憶合金を用いた医療検査用細管が注目されている。しかし、加工性が非常に悪く問題となっている。本研究では細管の引抜き加工を取り上げ、1)素管の熱処理条件、2)従来法による引抜き方の改善、3)潤滑剤の選定、4)FEMによる変形加工解析、5)最適な工具形式、6)引抜き中の破断防止 の項目について検討した。 平成10〜11年の研究から得られた事柄を以下に示す (1)引抜き加工に対する素線の最適熱処理条件および最適な潤滑剤を明らかにした。 (2)空引き加工後及び心金引き加工後の形状回復率を実験から明らかにした。 (3)提案したローラダイス引抜き加工では、焼きなまし無しで外径を約30%減少させることが可能となった。 (4)心金引き加工は内面のあらさを平均あらさRaで0.2μm程度に良くする事ができ、製品性能を向上させることができる。 (5)FEM(有限要素法)による変形・加工解析を行い、ダイス、心金の最適工具形状、引抜き限界、引抜き間の肉厚変化、均一加工性などの検討に有効であることを明らかにした。 (6)加工の操業安定化のキーとなる割れによる引抜き中断防止策として、心金形状を従来の円筒形から球状したものを使用し有効であることを示した。 また、得られた成果の公表として、国内の専門学会のほか新材料と新加工法の国際会議(AMPT99,Dublin)で発表し、世界の第一線の研究者と討論できた。 以上のように形状記憶合金間の細径化への加工技術の基礎データが得られた。
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