合金の凝固問題に対するフェーズフィールドモデル方程式を自由エネルギー密度関数により一般化し、さらにthin interface limitの条件によるパラメーターを求めた。新たなモデルを用いて、Fe-C_2元合金に対する種々の解析を行い、モデルの妥当性を検討した。まず、等温自由デンドライト成長を解析し、得られた過冷度と成長速度の関係を中立安定仮説による2次元解析モデルと比較した。次に、multi-phase-fieldモデルを新たに構築し、これによりFe-C包晶系合金の凝固過程を解析した。また、本モデルを等温オストワルド成長過程に適用し、その有効性を確認した。 さらに、工業的な応用を視野におき、フェーズフィールドモデルによる界面―粒子相互作用問題の解析を試みた。その第1歩として固液界面と容器壁あるいは固体粒子との濡れ挙動の取り扱い方法を検討し、フェーズフィールドおよび溶質場の境界条件を適切に設定することによる濡れ条件の取り扱い方法を示した。また、Fe-C合金について粒子近傍における固液界面形状変化に対する解析を行い、溶質富化により界面形状が著しく凹になること、粒子前方での凝固が遅れることを示した。さらに、粒子に作用する押出し力を新たに界面形状と関係付けて定義し、界面による粒子捕捉臨界条件を求めることを試みた。これらの解析から、Fe-C合金/アルミナ粒子系における粒子捕捉臨界速度の粒子半径に対する関係を求めた。
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