研究概要 |
本研究では,酸化物イオン-電子(ホール)混合導電性酸化物(電極I)+イオン伝導体+金属または混合導電性酸化物(電極II)から構成される非対称ミクロセルからなる複合(コンポジット)電気化学触媒(CECC)の可能性とその基礎的特性を明らかにすることを目的としたものであり,本年度は,(A)[n型半導体のNd_<2-x>Ce_xCuO_<4-δ>電極]+[金電極]+[NdO_<1.5>をドープしたCeO_2電解質],(B)[p型半導体のNi_<1-δ>O電極]+[金電極]+[YSZ電解質],および(C)[n型混合伝導体のTiO_2をドープしたYSZ電極]+[金電極]+[YSZ電解質]とする3種類のコンポジット電気化学触媒を対象として,(1)酸化物電極の優勢キャリアの種類と反応性,(2)電解質の少数電子キャリアの種類と反応性,(3)種々の雰囲気,温度における混成電位発生機構に関する電気化学的測定,(4)NOx分解触媒としての特性測定を中心とする基礎的実験を行った.本年度に得られた成果は以下の通りである. (1) CECCとしては,(A)および(B)について酸化雰囲気中におけるNOxとの反応性を検討するための基礎的な触媒実験を行い,これらを構成する成分単体に比較してCECCが高い触媒活性を有することが明らかになった. (2) 化学的安定性に優れたYSZ及びn+O^<2->イオン伝導体であるTiO_2ドープYSZの導電特性,及び高い比表面積を有する微細粉末の合成・結晶化過程を調べ,CECCの構成要素の調整法を検討した. (3) 高い反応活性を有するNd_2O_3-CuO-CeO_2の相平衡を調べ,高温においてもNd_<2-x>Ce_xCuO_<4-δ>とCe_<1-x>Nd_xO_<2-δ>相がともに安定に存在する条件を調るとともに,導電特性を検討した. (4) 混成電位測定(開回路電圧)および直流分極実験をそれぞれ行い,混成電位と触媒能の関係,およびアノード及びカソード反応を検討し.交換電流密度を求めて混成電位を解析した.
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