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製鋼ダストの完全湿式処理法を開発するため、製鋼ダストの硫酸化焙焼と焼鉱の選択浸出に関する研究を行った。先ず未処理の製鋼ダストの苛性ソーダ浸出について検討した結果、苛性ソーダ浸出は選択性はあるものの、亜鉛の浸出率が低く、実用的ではないことが判明した。
製鋼ダストを亜硫酸ガスと酸素の混合気流中で焙焼すると、焙焼温度600゜Cでジンクフェライトは分解し、硫酸亜鉛とヘマタイトになることが分かった。それ以上の温度で焙焼すると、硫酸亜鉛は分解し始め、800゜C以上では再びジンクフェライトが合成されることが分かった。得られた焼鉱を苛性ソーダ浸出すると、亜鉛の浸出率は600゜Cで焙焼したときに極大となり、亜鉛は全て浸出された。鉛の浸出率は高く、鉄は全く浸出されなかった。800゜C以上の温度で焙焼すると、未処理のものより亜鉛の浸出率は低くなった。ガス混合比を変えて焙焼した実験結果から、かなり広いガス組成でジンクフェライトは分解し、亜鉛の浸出率が向上することが分かった。焼鉱を水で浸出すると、亜鉛の浸出率は変わらないが、鉄と鉛の浸出に違いが見られた。亜鉛のみを対象とする場合には600゜C程度の温度で硫酸化焙焼して水で浸出することも考えられるが、亜鉛と鉛を同時に浸出するには苛性ソーダ浸出が有効であることが判明した。
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