物質設計、材料設計、プロセス設計を経て、製品化にいたるプロセスライフサイクルのアクティビティのIDEFO(Integration Definition for Function Modeling)によってモデル化した結果を詳細に分析し、情報の流れを明らかにした。これによって、これまで明確に分析されたことのない開発活動と生産活動の多くのフェーズを個々のアクティビティに分解し、そのアクティビティ間の物質、情報の流れが明らかになった。各アクティビティを実行するために必要な情報やシミュレータなどの資源(メカニズム)についても解析を行い、統合設計システムに必要なツールと情報構造についても検討を進めた。また、生産後の製品の流れを含むプロダクトライフサイクルについて、生産から流通、消費、廃棄、回収、リサイクルなどのモデル化を行い、このモデルから抽出される情報を設計に段階に取り入れるための情報構造について解析を開始した。 これらの解析結果から、個々のアクティビティをオブジェクトととらえ、情報の流れをオブジェクト間あるいはデータベースとオブジェクト間、シミュレータとオブジェクト間の情報伝達ととらえることによって化学プロセス設計の全体のアクティビティのつながりをモデル化するシステムの試作に着手した。種々のシミュレーション実行するツール、各アクティビティを実行するために必要だが現在は個別に存在しているデータベースを管理するツールを分散環境での情報技術であるJavaやオブジェクトリクエストブローカー、オブジェクト指向データベースなどの技術を活用し、分散環境での情報交換技術について基本実験を完了した。設計者に対するユーザーインタフェースについても基本機能設計を行った。
|