研究概要 |
水溶液に対する「温度場・濃度場同時計測システム」の開発を行なう目的で検討を行い,以下の知見を得た。 1. 本研究が対象としている炭酸ナトリウム水溶液の二重拡散対流では屈折率の温度及び濃度依存性がいずれも無視できず,屈折率と密度が1対1に対応しない事が判明した。すなわち,ホログラフィーにより得られる干渉縞は等密度線とはならず,等屈折率線にすぎない。 2. 従って,密度,温度,濃度のいずれか1つが測定できたときはじめて等屈折率線から残り2つの値を定量化できる。そこでホログラフィーによる可視化と同時に局所温度を測定し,その結果から濃度および密度分布を算出する方法を試みた。その結果は本研究と並行して以前から行なっていた数値計算の結果と良好に一致し,この定量化手法の妥当性が確認された。 3. 上記手法で二層系二重拡散対流現象を解析したところ,上下各層は密度成層しており各層の密度勾配は時間によってほとんど変化しないことが明らかとなった。また上下層境界の密度差が時々刻々と減少し,その差がほぼ零となったとき層境界の崩壊が起こることが判明した。 4. 一方,レーザー誘起蛍光法に対しては,様々な試行錯誤を続けてはいるものの,未だ有効な可視化および定量化の方法を確立するには至っておらず,この点に関しては翌年度に集中的に検討を進める予定である。 5. 翌年度はレーザー誘起蛍光法による計測法を確立したのち,これをレーザーホログラフィー干渉法と融合させ,温度場,濃度場の同時計測システムを構築してゆく予定である。
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