研究概要 |
(1)顕微鏡下で実験可能な小規模電極セルを作成した.電極セルの油相中に水滴を固定し,電圧を印加して電気応力-水滴変形曲線を求めた.応力-変形量の実測値を理論解に適合するようにして弾性率を求めた.装置の健全性をシクロヘキサン-水滴系で確認し,良好な結果をえた.流動パラフィン-水滴(蒸留水,食塩水,硫酸銅水溶液およびドデシル硫酸ナトリウム水溶液)系の界面弾性率を求め,測定法を確立した. (2)油相電場中を運動する液滴内外の流動解析を行い,液滴内外の流動におよぼすレイノルズ数,粘性比,電場の影響を調べた.電場の効果を示す無次元パラメーターが液滴表面速度,抗力係数,液滴内外のフロー・パターンにおよぼす効果を調べた.その結果,両相の電気物性値に依存して液滴内外のフロー・パターンが大きく異なった.絶縁性液滴では液滴後部で剥離渦が,導電性液滴では液滴前部で剥離渦が生成されることを明らかにした.油相電場中を落下する単一水滴の終末速度の実測値と解析解との比較を行った. (3)実装置を模擬したパルス電場を備えた大型装置での水滴群の運動挙動を調べた.その結果,1)パルス電圧立ち上がり期間では液滴分散支配,2)一定電圧印加の期間では液滴間の合体・分裂による連続相混合支配,3)パルス電圧降下期間では液滴合体による分散相セトリング支配パターンを形成することがわかった.2)の期間では液滴の合体・分裂による連珠が形成され,電極間短絡による操作不能が生じることもわかった.2)の電極間に滞留する分散相量と一定電圧印加期間が制御対象となることを示唆するものである.
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