研究概要 |
1.電極を備えた箱型小規模装置(縦70mm,横40mm,幅110mm)を試作し,油相電場中の静止単一水滴の変形から分裂に至る過程をテレビカメラで追跡して調べた.水滴変形度の実測値は直流,交流印加電圧共に理論値とよく一致し,水滴変形度が印加電圧に対して推算可能なことを明らかにした.また,油相電場中の水滴の分裂限界を表示する新しい無次元相関図表を提案した. 2.実装置を模擬したパルス電場を備えた大型装置(縦1450mm,横150mm,幅150mm)を試作し,分散水滴の運動挙動を調べた.その結果,(1)パルス電圧昇圧期間では液滴分散支配,(2)一定電圧印加期間では液滴間の合体・分裂による連続相混合支配,(3)パルス電圧降下期間では液滴合体による油水分離支配のパターンを形成することがわかった.(2)の期間では液滴の合体による連珠が形成され,液滴連珠の電極間短絡による操作不能が生じることもわかった. 3.低品質原油中の溶存物質が水滴表面に吸着して弾性被膜を形成する.油水界面被膜の弾性係数を測定する顕微鏡規模装置を試作した.顕微鏡下の小規模電極セル中に水滴を固定して電気応力〜水滴変形曲線を求め弾性係数を求めた.流動パラフィン〜電解質を含む水溶液系の弾性係数を実測した.実測値は理論値より幾分大きくなったが,装置の改良点を明らかにすると共に測定装置および測定法を確立した. 4.油相電場中に運動する液滴内外の流動解析を行い,液滴内外の流動模様におよぼすレイノルズ数,粘性比,電場の影響を調べた.その結果,連続相と分散相の電気物性に依存して液滴内外の流動模様が大きく異なることがわかった.この結果より液滴間の合体・分裂する部位の推定が可能となった.
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