ガスストリッピング法に基づく無限希釈活量係数の測定装置を設計し、現在作成中である。装置全体は、平衡温度を決定する恒温水槽、内容積約25mlのパイレックスガラス製平衡セル、およびガスクロマトグラフィーからなる。試料を充填するガラスセルはG2ガラスフィルターを内蔵しており本研究のために設計したものである。セルの形状は迅速に溶質を溶媒中に分散させると同時に、飛沫同伴を防ぐよう配慮を施した。また活量係数を直接決定するガスクロマトグラフィー本体および周辺には、精密測定のために次のような工夫を施した。(1)水溶媒(溶質)での測定に分析可能な検出器TCDおよび有機物溶媒(溶質)で高精度の分析が可能な検出器FIDの両方を備えた。(2)サンプル導入部はグリースを用いないエア駆動の自動六方コックとし、リモートタイマーを用いて設定した時間ごとに一定量のサンプルを分離カラムに導入できるシステムをガスクロマトグラフィー本体に組み込んだ。(3)流量の正確な測定のために分析用キャリアガスおよび試料のスウィープガスとして使用するヘリウムガスは一度水を通し、ウェットガスとして石鹸膜で測定するデジタルフローメータを用いる。また、流量決定には測定中の気温および気圧、装置内の圧力損失を補正したものを用いる。データ解析にはれらの点を考慮した方法で無限希釈活量係数を決定する。測定の諸条件は装置が完成した後、標準データとして知られるヘキサデカン中におけるヘキサンの無限希釈活量係数を実測し、文献値と比較することで検討する予定である。
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