研究課題/領域番号 |
10650770
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
三浦 弘 埼玉大学, 工学部, 教授 (60092574)
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研究分担者 |
黒川 秀樹 埼玉大学, 工学部, 助手 (50292652)
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キーワード | 不飽和アルデヒド / 選択的水素化 / 不飽和アルコール / 担持コバルト触媒 / アルミナ担体 / アルコール溶媒 / 2-ヘキセナール / 溶媒効果 |
研究概要 |
不飽和アルデヒドを選択水素化して得られる不飽和アルコールは、香料や医薬品の原料として有用な中間体である。これまでこれら不飽和アルコールの製造プロセスは、高価な還元試薬を用いていることや、反応後の生成物との分離が困難であることから製造コストが高いという問題点があった。これまで当研究室では、塩化コバルトを原料として沈殿法で調製したアルミナ担持コバルト触媒が本反応に対して非常に有効な触媒であることを報告してきた。本研究では、上記触媒の工業的なレベルでの使用に向けて触媒機能、すなわち活性、選択性の向上を目的に、触媒組成や触媒調製法の最適化に加えて、水素化反応条件、反応溶媒の選定などのプロセス因子も含めた検討を行った。 まず、調製法による触媒構造の違いを見るため、沈殿法及び含浸法で調製した触媒について反応及びXRDにより検討した結果、沈殿法で調製した触媒では、金属コバルトの結晶構造が6方晶であったのに対して沈殿法のそれは立方晶であった。反応結果より、6方晶コバルトすなわち沈殿法で調製した触媒が活性、選択性共にきわめて高く、触媒性能が、結晶構造に強く依存していることが明らかになった。溶媒による活性、選択性への影響を調べるため、炭化水素類、エーテル類、アルコール類を用いて水素化を行った結果、アルコール溶媒を使用したときのみ、高活性であった。さらに1-ブタノール、2-ブタノール、iso-ブタノール及びt-ブタノールを用いて検討した結果、1-ブタノール>2-ブタノール=iso-ブタノール>t-ブタノールの順に活性が高く、一級アルコールでかつ、アルキル鎖に分岐が無いアルコールが最も良いことが分かった。また、エタノールを用いて反応速度に対するアルコール濃度依存性を調べた結果、反応は工タノール濃度に対して一次であることが分かり、アルコールと原料あるいは生成物との反応が本反応におけるキーステップであることが示唆された。
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