触媒性能予測にニューラルネットワークを応用する場合には、そのニューラルネットワークの学習能力と般化能力が重要になる。この点、工学分野を始めとして広く使用されているバック・プロパゲーション型ネットワークに比べて、ラジアル・ベイシス関数(RBF)型ニューラルネットワークの優越性が期待されている。 本研究では、入力層、中間層、出力層の3層からなるRBFニューラルネットワークの開発と、その性能の検証を行った。RBF関数としては、一般的に用いられている正規分布関数を使用し、ユニット間の結合重みとしては、中間層と出力層の間のもののみを考慮することにした。ネットワーク内のRBF関数の数を決めるに当たっては、2種類の方法、すなわち、学習データのセット数と等しい個数とするものと、まとまりのあるものを1つのグループとして1個のRBF関数で表す方法とがある。前者は、その意味が直裁的であり、利用できる学習データの数が少ない場合に適しており、後者は、学習データの数が多い場合に計算量を減らすという利点がある。同じRBFネットワークであるが、それらのアルゴリズムにはかなりの差がある。本研究では、学習データである触媒性能の測定値の数に幅がある場合を想定して、両方のRBFネットワークのプログラムの開発を行った。ニューラルネットワーク・シミュレータの開発は、UNIXワークステーション上でC言語を使用して行った。 このようにして開発したニューラルネットワークの性能を確認するために、比較的非線形性が高く、かつその非線形性の程度の制御が容易な初等関数である三角関数を学習させた。その結果から、比較的少ない学習データの場合でも、関数形を良好に再現し、本RBFニューラルネットワークが、触媒性能予測にも十分使用できることが確認できた。
|