研究概要 |
本研究は遺伝子操作により、免疫複合体を除去する機能を付加させた腎糸球体細胞を、糸球体基底膜成分に類似ず生分解性高分子素材に植え付け、細胞外環境を人工的に設計、構造化し、それらの相互作用を持つ細胞間基質(マトリックス)を用い、機能強化細胞群を取り込むことによって、複合ハイブリッド腎組織を生体外で形成させ、取り扱い安い形状にした人工腎ユニットを構築する研究を行い、将来移植可能な人工腎臓の根幹となすキーテクノロジーを確立することを目的とする。 平成10年度の研究実績は以下の通りである 細胞の免疫複合体の除去能及び免疫寛容能を支配する遺伝子を腎糸球体上皮細胞に導入した。 免疫複合体の除去能(結合及び貧食)を持つ遺伝子、補体C3bレセプターをコードするpCR1をclectroporation法により、腎糸球体上皮細胞に導入した。また、T細胞の免疫応答co-timulatory signalをコードするCTLA4-Igも細胞に導入した。遺伝子の蛋白質への発現はFlowcytometryやWestern blottingにより確認した。 2 腎糸球体メサンギウム細胞の不死化株の樹立 細胞不死化に効果する遺伝子E6,E7(前者は癌制御する因子p53の不活性化遺伝子、後者は細胞周期調整因子であるpRBの不活性化蛋白をコードするヒトパピローマウイルス(HPV16)の遺伝子)を用い、メサンギウム細胞の不死化を行った。蛍光顕微鏡により、メサシギウム細胞特有の伸縮形質を確認した。 3 腎糸球体上皮細胞及びメサンギウム細胞の共培養法を開発する 生体腎内でのメサンギウム細胞と上皮細胞の生存類似環境を設計するため、生体外の共培養環境をセルデイスク及びシリコンリングを用いた。細胞をセルデイスク上に播種してから、シリコンリングの上下両側に載せて、上皮細胞の特有培地DMEM-F12及びメサシギウム細胞の特有培地MSGMを添加し、37Cの培養法を開発した。
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