穀類未利用資源として大麦のフスマを用いて、これに含まれている配糖体に作用して、フェノール性のアグリコンを生成する微生物を広く自然界から分離した。即ち、大麦フスマ、ミネラル、窒素源を含む培地に土壌等のサンプルを微生物源を摂取して培養し、アグリコンの生成は活性酸素消去活性を指標として、細胞の老化抑制活性につながる物質を生産する微生物を選択した。その結果、5種類の微生物を分離した。これらの微生物から再現性をもって活性酸素消去活性物質を生成する微生物(細菌)を選定した。大麦フスマの培養生成物の分離と精製はカラムクロマトグラフィー法によって行なった。微生物の作用によって大麦フスマから生成した物質は、クロマトグラフィー分析から多種類あることが分かったので、これらの物質の内から、目的の生理活性物質の探索を行なっている。 一方、細胞老化度の指標となりうるマーカー蛋白質やmRNAを探索し、その評価系を構築するための検討を行なった。腫瘍抑制蛋白質(p53)、ビメンチン、細胞周期阻害因子(WAF1)、RNA結合性転写調節因子(CBF-A)、アクチン及びチューブリン等を指標として見いだした。蛋白レベルの評価解析系は各検体毎の正確な蛋白質定量を必要とし、また、ウスタンブロットに使用する各種指標蛋白質に対する一次抗体の反応性が異なるため評価系として十分なものではなかった。そこで、RTPCR法により上記蛋白のmRNAを定量比較した。老化細胞のビメンチンmRNA転写量は若い細胞の4倍以上の高い値を示したが、コントロールのGADPH・mRNA量の変化は認められなかった。現在細胞老化度の指標としてさらに特異的なプライマーセットを探索中である。
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