1)抗酸化活性を指標とした細胞老化抑制配糖体アグリコンの生成と性質の解明 穀類未利用資源として大麦フスマを醗酵して抗菌酸化性物質を生産する微生物を土壌より分離した。この細菌はBacillus megaterium YUK-6と同定した。大麦フスマから生成した抗酸化性物質は酢酸エチルに可溶性な油状の物質(温度によって結晶状と油状に変化する)を得た。大麦ポリフェノールと考えられた。 一方、ゴマ脱脂粕を主たる炭素源とし、抗酸化性物質を遊離生成した微生物を純粋に分離した。この微生物をBacillus circulans YUS-9と同定した。2つの化合物を純粋な物質として取得し、化学構造を、Sesaminol di-glucoside、およびSesaminol tri-glucosideと決定した。本研究によって、廃棄していたゴマ脱脂粕の微生物醗酵によって、ゴマ脱脂粕から効率良くこれらの生理活性リグナン配糖体を遊離生産することが可能となった。 2)ヒト培養細胞を用いた細胞老化抑制活性の評価系構築と生理活性評価 本研究では培養系を用いた簡便で迅速な評価系を構築した。ヒト皮膚の老化線維芽細胞ではビメンチンmRNAは若い細胞に比較して4倍以上と顕著に増加していた。アクチン及びp53のmRNAレベルは老若の細胞間で変化は認めれなかった。細胞の老化度を推測する指標としてビメンチンmRNAの定量が有望であることが明らかとなった。 細胞の老化形態の誘導がビメンチン蛋白質の増加によるものかを明らかにするため、若い細胞にビメンチン発現ベクターをトランスフェクションし、ビメンチンを過剰発現させた。ビメンチン蛋白質を過剰発現させた若い細胞は老化細胞に類似した形態を示した。本研究だは細胞老化によりビメンチン遺伝子の過剰な発現により、ビメンチン細胞骨格蛋白質が非常に増加することが明らかにした。また、ビメンチン蛋白とそのmRNAを定量する迅速簡便な評価系を構築した。
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