細菌無機ピロフォスファターゼ(PPase)は三量体のダイマーである六量体のみが安定性を示す。三量体同士の会合は会合ドメインに存在するサブユニットあたり2組のヒスチジン同士の水素結合によるが、本研究では好熱性細菌酵素(PS-3 PPase)のサブユニット会合ドメインヒスチジンをもう1残基導入し酵素の熱安定性の向上を検討している。さらに、大腸菌酵素と好熱菌酵素はこの2組のヒスチジンの接触ドメインにおける位置が異なっていることから、接触ドメインに4個のヒスチジン残基を有する大腸菌酵素と好熱菌酵素のキメラ酵素を作成し熱安定性の向上を試みている。研究の進捗状況は以下の通りである。 1. PCR法を用いたsite directed mutagenesisにより、R129H変異PS-3 PPase遺伝子を組み込んだプラスミド(pUC118)を作成し、大腸菌内で発現させ、組み替え変異酵素の精製を行っている。 2. PCR法により、PS-3 PPaseのAla-1からPhe-127迄の領域に当たる遺伝子断片と大腸菌酵素のIke-136からLys-175迄の遺伝子断片を増幅し、量遺伝子断片をライゲーションした。これをプラスミドpUC118に組み込み大腸菌内での発現を試みている。
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