本研究では、多彩な機能を有する放線菌由来(Streptoverticillium cinnamoneum)が産生する膜内在型及び分泌型ホスホリパーゼD(PLD)の組み換え微生物による高発現及び触媒機構解析の検討を試みた。 (1)膜内在型PLD 放線菌の膜画分からホスファチジルエタノールアミン(PE)に対して選択的に加水分解を行うPLDを同定した。種々のクロマトグラフィーにより、そのPLDを精製し、分子量、基質特異性、物理的安定性などの解析を行った。その結果、このPLD酵素は現在までに報告がなされていない新規のPLD酵素であることを示した。また膜内在型PLDの遺伝子解析を行うために、分泌型PLD遺伝子の様々な部分配列をプローブとして用い、複数のクローンを得た。現在その各クローンの遺伝子解析を進行中である。 (2)分泌型PLD 分泌型PLDの遺伝子を大腸菌、酵母、放線菌の宿主ベクター系に組み込み、その発現量の比較検討を行った。その結果、酵母と放線菌において比較的高い発現量を確認出来た。現在、バイオリアクターを用いた最適化を行っている。また分泌型PLDの触媒機能解析においては、一次配列内のヒスチジン、リジン、アスパラギン酸が活性に必須であることを明らかにした。
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