研究概要 |
(1) 「流れ分析における反応と検出の場を溶液相から機能性固相表面に可能な限り置き換え、しかもそれらを一体化することでシステムの単純化やミクロ化に加えて、感度、精度、選択性および汎用性などの高度化をはかる」という本研究の第一段階として、測定セル内に導入したミクロ粒子表面での着色や退色反応を光ファイバーと超小型CCDマルチチャンネル分光検出器を用いたオプトセンシングによって直接測定できる新たなタイプの流れ分析システムを構築した。このシステムでは全ての操作はコンピューターにより自動化されている。 (2) ソフト面では官能基を導入したり、試薬を坦持した機能性マイクロ粒子(数十μm径)を調製し、このミクロ粒子固相表面をオプトセンシングの反応検出の場として活用できる指示反応の確立である。最初のモデル実験として、酸塩基反応によるH^+イオン濃度の測定システムを検討した。これはパラローズアニリンをはじめとする数種類の酸塩基指示薬をイオン交換樹脂上に吸着させたものを機能性ミクロ粒子として用い、H^+イオン濃度に応じての鋭敏な変化をモニターするものである。このモデル実験によって(1)で構築した流れシステムがうまく機能すること、また、このミクロ粒子を使うシステムが酸塩基の連続モニタリングにも応用展開できる見通しを得た。 (3) 現在は第二段階として、錯生成反応による重金属イオン定量への本流れシステムの展開を進めいる。PSAAを吸着させたミクロ粒子(セファロース)の調製を行い、その粒子上で極微量Co,Ni,Feなどとの錯体生成による吸収スペクトルや吸光度と濃度との相関がうまく測定できることがわかった。これら金属イオンの高感度定量や同時定量など特色ある流れ分析法開発へと発展させたいと考えている。
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