下記のガラス製および半透明テフロン製の各種フローセルを作成し、その特性を研究した。特に、感度と安定性について詳細に検討した。 1) 固定化ペルオキシダーゼを充填したフローセル Arthromyces ramous由来及びHorseradish由来のペルオキシダーゼをトレシル化法で親水性ビニルポリマービーズまたはセルロースビーズに固定化した。これを充填し、セルホルダーに取り付け、化学発光検出器に装着して使用した。いずれのビーズでも高い固定化収率を得られたが、セルロースビーズは高流速(2.0ml/min以上)での使用に適さなかった。いずれの由来の酵素も安定で、過酸化水素のセンサーへの使用が可能であった。ガラス製セルに比して半透明テフロン製セルの方が鋭敏さはやや劣るが、ノイズが小さく、実用に適していた。Arthromyces ramous由来のものを使用して、10nMレベルの過酸化水素の検出が可能であった。 2) 固定化脱水素酵素/NADH酸化酵素/ペルオキシダーゼを充填したフローセル フェニルアラニン脱水素酵素(EC.1.4.1.20)、アラニン脱水素酵素(EC1.4.1.1)、ロイシン脱水素酵素(EC1.4.1.9)とNADH酸化酵素(EC未定、旭化成製)とペルオキシダーゼをグルタルアルデヒド法およびトレシル化法で親水性ビニルポリマービーズに固定化した。いずれの方法でも3種類の酵素を安定に同時に固定化できたが、トレシル化法によりより高い固定化収率が得られた。上記3種類の脱水素酵素中で、ロイシン脱水素酵素が最も安定で、高い固定化収率であった。フローセルは2週間安定であった。これを組み込んだセンサーを作成した。300nM〜5μMの分岐鎖アミノ酸の測定が可能であった。
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