試作したパッシブサンプリング装置は、風洞内に設置した。装置胴体部へ気体試料を流し、胴体部中央を通るステンレスパイプは、吸収溶液を導き、先端に液滴を作る。吸収溶液は、ザルツマン試薬を用い、必要に応じてトリエタノールアミン(TEA)を加えて、マイクロポンプによって送液する。形成された液滴は周りを流れる気相中のNO_2を捕集し、発色する。この発色した液滴に赤色発光ダイオード(LED)の光を照射し、液滴を透過した光を光りファイバーでフォトダイオードまで導き、光電流に変換した。この電流を基に、見かけの吸光度及び吸光度を求めた。 液滴成長プロセスの再現性を高めるため、研究代表者らが開発したコンピューター制御のパルス吐出マイクロポンプ(現有設備)を使用して超精密流量で送液する。これにより、フローと液滴成形がより安定するので、大気中超微量成分検出に向けて高感度化が見込まれる装置構成が可能になる。本研究では、発光ダイオードと光ファイバーの組み合わせによる急行検出を適用して液滴フロー法の装置化を研究してきたが、ある程度の研究経験を有する発光ダイオード分光検出法の適用により、新境地の高感度モニタリング装置開発へ移行した。現有発光ダイオード分光検出器を用いた高感度検出システムの適用に当たっては、室内環境で問題が顕在化しているNO_2をパッシブモニタリング・連続モニタリングするケーススタディの適用を目指すが、前例がないので、液滴法と発光ダイオード分光検出法の接続について研究協力者(島津、ジーエルサイエンス)の支援を得た。NO_2の標準ガス発生装置を用いて、液滴界面を形成しガス吸収を行う際、それぞれに最適な流動溶液を選定した上で、液滴フロー環境計測装置の性能評価研究を行っている。
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