研究概要 |
平成11年度の研究実施により以下の成果を得た. 1.細孔が理想的に配列した陽極酸化皮膜の作製法,およびフィルターメンブレン化法を確立した.Al板表面にモールドを用いることにより,陽極酸化時の細孔発生の開始点となる窪み配列を形成し,その後,適切な条件で陽極酸化を行なうことにより,細孔が理想配列した陽極酸化アルミナを形成した.地金Alおよび皮膜底部を選択的に溶解・除去することにより貫通孔を有するフィルターメンブレンを得た. 2.濾過特性の評価に必須な加圧濾過装置を試作し,濾過流量の圧力依存性,流量の経時変化特性等について検討を加えた.これらの結果をもとに本フィルターメンブレンの液体透過特性の解析を行なった. 3.各種モデル粒子を用いた精密濾過を実施し,数10nm〜数100nm範囲の超微粒子を高精度に分離・濾過可能なことを確認した.このほか,微粒子分離実験を通じ,本分離フィルター系が単に粒子の分離だけではなく,微粒の規則配列形成法としても応用可能なことが確認された.ナノメーターサイズの超微粒子を本フィルターを通過させることで,フィルターの規則配列に対応した超微粒子の2次元配列を容易に得ることが可能であり,今後,各種ナノ規則構造形成法としての応用が期待される. 4.フィルターメンブレンの化学的安定性を向上させることを目的に平成10年度に引き続き鋳型プロセスによる金属フィルターメンブレンの作製を行ない,Ni,Ag,Au等の金属による理想細孔配列メンブレンを得た.このほか,ポーラスアルミナメンブレンを加熱処理し,結晶化させることで化学的安定性の向上がはかれることが見出された.
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