研究課題/領域番号 |
10650816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
工業物理化学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
安保 正一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (70094498)
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研究分担者 |
松岡 雅也 大阪府立大学, 工学部, 助手 (80305648)
山下 弘巳 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (40200688)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 光触媒 / ゾル-ゲル法 / 酸化チタン / NO直接分解反応 / イオン注入法 / Cr,V / 可視光応答性 |
研究概要 |
近年、酸化チタン光触媒を有害物質を含む汚染水処理や超純水の製造に応用する研究が活発である。しかし、光触媒反応の多くは微粒子光触媒を用いた懸濁系液相反応で行われるため、反応後の光触媒の回収が極めて困難である。このため、光触媒プロセスの実用化には液相からの分離回収・再使用に適した形態の酸化チタン光触媒を設計することが必須である。本研究では、クラスターイオンビーム法を用いることでポーラスバイコールガラス上に膜厚を任意に制御した均一かつ透明な薄膜上の酸化チタン光触媒の調製に成功した。UV-VISおよびXAFS測定により、膜厚が300nm以下の極めて薄い試料においても結晶性の高いアナタース型の酸化チタン層の形成が確認された。この薄膜酸化チタン光触媒は紫外光照射下でNOをN_2とO_2およびN_2Oに光触媒的に分解した。さらに、イオン注入法により、薄膜酸化チタン光触媒に極微小量のCrやVなどの遷移金属イオンを注入することで、可視光を吸収し可視光照射下でNOを分解する第2世代の薄膜酸化チタン光触媒の創製に成功した。さらに、薄膜調整法としてマグネトロンスパッタ法を用いることで、イオン注入を行わなくても可視光応答性を示す酸化チタン薄膜触媒の調製に初めて成功した。この触媒は可視光照射下および紫外光照射下両方においても高いNo分解活性を示した。XPS測定により、可視光応答型の酸化チタン薄膜は表面から内部に入るにつれてTi/O元素比が連続的に変化する傾斜組成であり、最表面は量論的なTiO_2の組成を取っていることがわかり、これらの傾斜組成が酸化チタン薄膜の可視光応答性の発現に重要な役割をなしていることを見いだした。従来の酸化チタン薄膜では太陽光の約3〜4%しか利用できなかったのに対し、これら可視光応答型の酸化チタン薄膜工触媒は約30〜40%の太陽光を利用することが可能な新しい光触媒系であることを明らかにした。
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