研究概要 |
3-イソプロピルシドノン(3-i-PSD)と種々低粘性溶媒(エーテル、エステル)との二成分系混合溶媒電解質の250℃におけるモル導電率を測定したところ、テトラヒドロフラン(THF)や2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)などのエーテルを含む系ではエーテルのあるモル分率(Xs)で極大を示したが、代表的なカルボン酸エステルであるγ-プチロラクトン(γ-BL)を含む系ではモル導電率に極大は観測されなかった。これはγ-BLの誘電率(25℃,39.1)がエーテル類に比べて5倍以上も高く、γ-BLの添加によっても混合溶媒の誘電率の低下がそれほど大きくないために、電解質の解離度低下によるイオン対生成が起こりにくいことが原因であると考えられる。 種々電解質(0.5 moldm^<-3>)を含む3-i-PSDと低粘性溶媒との等モル混合溶媒電解液について、Li/V_2O_5(2025)コイン型電池における正極当たりの重量エネルギー密度を求めたところ、LiClO_4やLiPF_6を用いた系ではLiBF_4やLiCF_3SO_3を含む系に比較して、かなり高いエネルギー密度を示した。また、モル導電率とエネルギー密度との間には相関がないことがわかった。 最大リチウムサイクル効率は混合系の種類によってあまり差はなかったが、Xs=0.5のLiClO_4/3-i-PSD-γ-BL系では初期サイクル数においてその効率は徐々に増大し、20サイクル以上で70%以上の高いサイクル効率を示した。このサイクル効率測定時のNi電極表面を原子間力顕微鏡(AFM)によるin situ観察を行なったところ、初期サイクルにおいては電極表面にリチウムデンドライトやdead lithiumの生成が観測され、皮膜の形態がかなり不均一であることがわかった。
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