3-メチルシドノン(3-MSD)及び3-エチルシドノン(3-ESD)とアミド系溶媒である1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)及び1、3-ジメチル-2-イミダソリジノン(DMI)から成る混合溶媒は粘性率が非常に高く、その電解液の導電率もかなり低い。またLi/V_2O_5電池の放電容量も小さく、リチウム電池用電解液として不適切であることがわかった。したがって、当初の計画を変更し、前年度(平成11年度)において未使用であった、リチウム電池用電解質として重要なLiCF_3SO_3及びLiN(CF_3SO_2)_2を含む3-MSD、3-ESD系三成分混合電解液の電気化学的特性やリチウム極のサイクル効率を検討した。 エチレンカーボネート(EC)をベースとするジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)等モル混合溶媒に3-MSD、3-ESDを添加してゆくと1mol dm^<-3>LiCF_3SO_3電解液では比導電率のわずかな増加が見られた。これは3-MSD及び3-ESDの添加による粘性率の増加よりも誘電率の増大がLiCF_3SO_3の解離度に影響を与えたためと推定される。Li/V_2O_5電池の正極当りの重量エネルギー密度と比導電率の間には相関が認められなかった。またLiCF_3SO_3を含むECをベースとする二成分当モル混合溶液への3-MSD、3-ESDの添加はリチウム極のサイクル効率に有効であることがわかった。この原因をSEM(走査型電子顕微鏡)により電極表面観察を行ったところ、LiCF_3SO_3を含む系では均一な粒状の析出物が生成していた。一方、LiN(CF_3SO_2)_2含有系では粒径が一定とはならず、表面形態も不均一であった。また、電極上に生成した皮膜の組成とサイクル効率との関係をXPS(X線光電子分光法)によるLi1S、C1S、N1S及びO1Sなどから検討中である。
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