1)粘土層間チタニア架橋体の合成:粘土としてサポナイトを用いたTiO_2-架橋サポナイトの合成はすでに成功した。平成12年度は粘土としてマイカとモンモリロナイトを用いて、TiO_2-架橋粘土の合成を行った。TiO_2-架橋サポナイトの合成と同様に、酢酸溶液中で多核錯体化したTi^<4+>を粘土層間にインターカレートしたものを合成し、これを大気中で焼成することにより有機物を除去した。キャラクタリゼーションは、XRD、表面積、細孔分布、XPS、UV-Vスペクトルなどの測定により行った。マイカ、モンモリロナイトともに架橋体が生成した。比表面積はTiO_2-架橋サポナイトで2.5倍、TiO_2-架橋モンモリロナイトでは50倍、TiO_2-架橋マイカでは100倍に達した。細孔分布曲線の極大値はいずれも直径4.2nmにあり、粘土による差は見られなかった。これより、TiO_2-柱の間隔は粘土による差が現れないものと推察される。 2)粘土層間ジルコニアおよびチタニア・ジルコニア混合酸化物架橋体の合成:化学的に不安定なジルコニウムアルコキシドを原料として粘土層間チタニア架橋体と同じ方法で合成に成功した。また混合酸化物架橋体では、、柱の組成は、原料となるアルコキシドのTiとZrのモル比に依存することがわかった。 3)粘土層間チタニア架橋体の光触媒作用:粘土層間チタニア架橋体を触媒としてアルキルアルコールの光分解反応およびベンゼンの部分酸化反応について検討した。アルコールの分解においてはアルキル基の大きさの効果が顕著にあらわれた。ベンゼンの部分酸化反応ではTiO_2触媒単独では、完全酸化がおこりCO_2が多量生成するのに対して、粘土層間チタニア架橋体触媒では、部分酸化物の収量が増加し、CO_2の発生が抑制された。これは、粘土による光の遮蔽効果と細孔の反応場の有効性によるものと考えられる。
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