研究概要 |
[OH/Al]比の異なる高濃度の多核ヒドロキソアルミニウム錯体溶液から透明なゲルを調製した.これらのゲルは500〜900℃で活性アルミナに,1000℃以上でα-アルミナにそれぞれ転移した.これらのゲルを加熱処理して得られた活性アルミナは,主にγ-アルミナからなっており,χ-アルミナも含まれていることがわかった.また,γ-アルミナの相対量は[OH/Al]比が大きいほど増加した.得られた活性アルミナの比表面積及び細孔容積は500℃から増加し,800℃で最大値となり,α-アルミナ化する1000℃以上では減少した.これらの活性アルミナは,直径3〜4nmの分布の狭い比較的小さな細孔と直径4〜30nmの分布の広い比較的大きな細孔を有した.このうち,比較的小さい方の細孔量は,[OH/Al]比の増加とともに増加した.比較的小さな細孔のサイズは,[OH/Al]比や熱処理温度を変化させてもほとんど変化しなかったが,細孔量は[OH/Al]比が高いほど増加した.一方,比較的大きな細孔のサイズは,[OH/Al]比が大きくなると減少し,加熱処理温度の上昇に伴い増加した.[OH/Al]比が大きい場合ほど,得られる活性アルミナの比表面積は大きかったが,細孔容積は小さくなった.このような細孔特性の[OH/Al]比依存性は,活性アルミナの細孔径分布の変化により生じていることがわかった.比較的小さな細孔の形成は,ゲルが多核ヒドロキソアルミニウム錯体の平面性に起因してゆるい配向構造をとることに由来すると推定された.
|