黒鉛粉末をフッ素圧0.3気圧、80℃〜520℃で2および10分間、フッ素化し、その表面組成、構造の変化とリチウムイオンの電気化学的挿入、脱離反応を1M LiClO@@S24@@E2エチレンカーボネイト/ジエチルカーボネイト(1:1)溶液中で調べた。2および10分間フッ素化した黒鉛粉末は0.5〜2.2at%、0.6〜3.7at%のフッ素を含有し、光電子分光法による表面分析では、それぞれ6.0〜14.6at%、7.1〜18.1at%のフッ素を含んでいた。炭素-フッ素結合は半イオン性結合と共有結合の中間的値をとり、フッ素化温度が高くなるにつれて共有結合に近くなった。またラマン分光法より、表面フッ素化によって黒鉛表面の構造の乱れが大きくなることも明らかとなった。表面フッ素化黒鉛を電極とした試験セルを用いて電気化学実験を行ったところ、表面フッ素化黒鉛は380〜400nAhg@@S1-1@@E1の容皇を示し、黒鉛電極の理論容量372mAhg@@S1-1@@E1を上まわる値が得られた。充放電実験の前後における表面組成と構造の変化を調べたところ、表面フッ素はほとんど消失し、表面酸素も減少していた。また表面構造の乱れも増加することがわかった。これらの結果より、理論値を超える容量は黒鉛表面近傍に過剰のリチウムが蓄積されることによると考えられる。 また、炭素-フッ素結合の性質を@@S119@@E1F-NMRスペクトルより調べたところ、C@@S2X@@E2F(x>8)の領域では炭素-フッ素結合はイオン結合性で、Xが8より小さくなるにつれて、半イオン結合性が増加することがわかった。また有機電解質溶液へのフッ素化合物の添加も電極表面上の被膜生成に大きな影響を与え、電極特性が変化することが明らかとなった。
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