平均粒径の異なる3種類の黒鉛の表面フッ素化を行い、有機溶媒中における黒鉛電極の電気化学的性質に及ぼす粒径の影響を調べた。平均粒径7μm、25μm、40μmの黒鉛へのリチウムイオンの電気化学的挿入・脱離に伴う可逆容量は、過塩素酸リチウムを1moldm^<-3>溶解したエチレンカーボネイト/ジエチルカーボネイト中、電流密度60mAg^<-1>で、それぞれ360mAhg^<-1>、340mAhg^<-1>、320mAhg^<ー1>であった。粒径の大きな黒鉛は表面積が小さく、黒鉛粒子の利用率が小さいことがわかった。これに対し、フッ素ガスで表面フッ素化を行った黒鉛は粒径の大小にかかわらず、理論容量の372mAhg^<-1>より大きい380〜390mAhg^<-1>を示し、反応速度の増加と過剰のリチウムが蓄積されることが見出された。ラマンスペクトルより、表面フッ素化によって、表面構造の乱れが生じることが示され、表面積の増加と表面細孔の生成が可逆容量の増加をもたらしたと考えられる。
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