研究概要 |
ITO,In_2O_3,AZO,GZO,ZnO等の透明伝導膜のスパッタ成膜プロセスに関して、RFアシストやオゾン添加等によるプラズマパラメータの制御、薄膜成長中の酸化反応の促進を行い、基盤近傍での精密に制御された化学反応の活性化による、高性能低比抵抗薄膜の作製を行った。また、成膜過程に於ける種々のパラメータと作製した薄膜の微細構造(化学組成、薄膜構成原子の科学結合状態、結晶構造、結晶粒系、結晶粒の配向、格子欠陥の種類と密度等)の相関関係を、実験、ならびに計算機シミュレーションの双方から解析し、更にアプリケーションの立場に立ってこれらの薄膜の諸物性(光学特性、電気特性、機械特性等)が発現する機構を構造との相関において解明することが出来た。さらに、通常のITO酸化物ターゲットを用いたスパッタ成膜と比較し、ターゲットが安価で高速成膜が期待できるIn-Sn合金ターゲットを用いた反応性dcマグネトロンスパッタプロセスにおいて、反応性ガスとして用いる酸素ガスを約5%程度オゾン化することによる無加熱基盤上での薄膜成長時の酸化反応促進効果を調べた。本研究において、酸素を5〜10%オゾン化した反応性ガスを再現性よく安定に導入し、反応性スパッタ成膜を行うことができた。このプロセスでは、ターゲット表面が完全に酸化されていない成膜速度が約1桁速い領域において、基盤無加熱で透明の多結晶ITO薄膜が形成できた。これは、反応性ガスのオゾン化により、より多くの原子状酸素ラジカルが生成され、薄膜成長表面での酸化反応が促進できたためだと考えられる。
|