1)含フッ素複素環化合物の合成 分子内に水酸基とアルデヒド基両方を持つ化合物とα-フルオロビニルトリフェニルホスホニウム塩を反応させ一段階で含フッ素複素環化合物を得ることに成功した。反応の鍵はアルコキシドのカウンターカチオンにセシウムを用いることで、たとえばサリチルアルデヒドとの反応で3-フルオロ-2H-クロメンを34%の収率で得ることが出来た。しかしながらこの環化反応は対応する立体障害の大きいケトン基を持つ化合物には適応できなかった。また得られた3-フルオロ-2H-クロメンはロジウム触媒を用いてモノフルオロオレフィン部分のフッ素を失うことなく水素添加でき、対応する3-フルオロクロマンに導けることもわかった。 2)モノフルオロアリルアミン誘導体の合成 求核剤にフタルイミドを用いることでモノフルオロアリルアミン誘導体を得ることに成功した。生成物はGabriel反応のときと同様にヒドラジンで脱保護すればフリーのモノフルオロアリルアミンが得られるものと考えられる。 3)モノフルオロアリルアルコールの合成 すでにモノフルオロアリルエーテルが得られることを報告しているが、求核剤を工夫してアリルアルコールのアルコキシドを用いることで得られたモノフルオロアリルアリルエーテルのフッ素の置換していないアリルエーテルの炭素-酸素結合を選択的に切断でき対応するモノフルオロアリルアルコールが高収率で得られることを見いだした。現在、モノフルオロアリルアリルエーテルのE/Z選択的合成に取り組んでいる。
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