研究概要 |
平成11年度には下記の点を明らかにした。 (1)種々の2,2'-ジアルコキシー1,1'ビナフトール類を合成し、増感剤として備えるべき諸物性について検討した。その結果、半経験的分子軌道法を使って計算した二つのナフタレン環のねじれ角が物性に影響することが分かった。光増感剤に適したものを選んで、1,2-ジアリールシクロプロパン類の光アミノ化反応について検討した。その結果、レドックス光増感反応でアミノ化反応が進行した。 (2)酒石鹸を不斉源に、発色団にフェニル基およびナフチル基を用いた不斉な電子供与体とβーシクロデキストリンとの相互作用について検討した。発色団から発する蛍光スペクトルを解析した結果、メトキシ基を有するフェニル基またはナフチル基の時、βーシクロデキストリンの添加によって蛍光強度が増加する現象が見い出され、その増加の割合が(+)-体と(-)ー体では異なる「不斉認識」を見い出した。 (3)昨年度まで検討していたジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテンの光アミノ化反応をベンゾシクロヘプテンにも応用した。その結果、同様の反応が起こり2-アミノベンゾシクロヘプテンを生成した。このアミノ付加体を環化反応によってベンゾシクロヘプテンイミンに導く予定であり、平成12年度も引き続き研究を行う。
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