研究概要 |
(1)レドックス光増感アミノ化反応 ジアルコキシビナフトール類を増感剤として用いる1,2-ジアリールシクロプロパン類の光増感アミノ化反応について検討した。その結果、アミノ化反応が進行し、1-アミノ-1,3-ジアリールプロパンが生成した。反応収率は用いる増感剤によって変化することが分かった。また、ジアルコキシビナフトール類は面不斉を持つことから、ジアルコキシビナフトール類の光学活性体を合成し、これを用いて1,2-ジアリールシクロプロパンの光不斉アミノ化反応について検討した。 (2)キラルπドナー存在下の光アミノ化反応 電子受容体間の光誘起電子移動反応で発生させた電子供与体のカチオンラジカルとアンモニアとの反応で起こる光アミノ化反応はπドナーを添加することで、収率が大幅に向上されることを我々が見いだしている。そこで、キラル性πドナーを用いてp-アネトールの光アミノ化反応を行った。その結果、アミノ化反応物の比旋光度は反応温度および用いたキラル性πドナーの種類によって変化した。 (3)キラルπドナーのβ-シクロデキストリンへの包接挙動 水中シクロデキストリン存在下でメトキシ置換ベンジリデン酒石酸エステルの(+)-体および(-)-体の蛍光スペクトルを測定した。その結果、シクロデキストリンの濃度が高まるに従って、蛍光強度が増加することを見い出した。また、メトキシ基の置換位置の違いによってその増加の割合が(+)-体と(-)-体では異なることを見い出した。これは今までに報告の少ない励起状態での不斉認識であると思われる。
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