研究概要 |
平成10年度に引き続いて、グルコシダーゼ阻害作用などの薬理作用が期待されるアルカロイドアザシュガー類の効率的な合成法の開発について以下の検討を加えた。 1、中間体の不飽和ヒドロキシラクタムの合成においては、相当するイミドの還元剤を工夫することによる効率的なヒドロキシラクタムの新規合成法を開発した。さらに、これらのヒドロキシラクタムのリパーゼによるエステル交換反応を利用して極めて効率的に光学活性体を得ることができた。これらの反応を利用して、抗腫瘍性の(-)-Lilidineの全合成を達成した。さらに、この種のキラルな不飽和ヒドロキシラクタム誘導体を四酸化オスミウム酸化することによりジアステレオ選択的にanti-ジヒドロキシ化し、これよりヒドロキシ化されたプロリノール誘導体、およびD-リボースのNーアナログ誘導体の合成についても検討した。 2、リパーゼを用いたジヒドロキシイミドおよびピロリジン類の不斉識別についても詳細に検討した結果、rac-ジヒドロキシイミドに対して、不斉エステル交換反応を行うことにより、キラルなモノアセトキシ体が、>99%e.e.という非常に高い立体選択性で得られることが明らかとなった。また、rac-ジアセトキシ体の加水分解反応においても極めて良好な立体選択が認められた。これらの結果よりこの不斉識別反応の酵素モデルについても検討を行った。 3、糖化菌のビフィズス菌増殖促進物質である3炭糖のN-アナログ体の合成についても検討を加えた。すなわち、エピクロロヒドリンとベンズヒドリルアミンとの反応によって得られた3-アゼチジノールの各種酸化により3-アゼチジノンを合成した。さらに、N上置換基を除去することにより、3,3-ジヒドロキシアゼチジンの合成を達成した。
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