研究課題/領域番号 |
10650847
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
川井 正雄 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60161270)
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研究分担者 |
荒木 修喜 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30115670)
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キーワード | グラミシジンS / メチレン鎖架橋 / 環状ペプチド二量体 / 抗菌活性 / 溶血活性 / β-シート型会合配座 / 亜鉛二核錯体 / リン酸エステル結合開裂 |
研究概要 |
我々によって確立されたグラミシジンSのモノアシル化反応を用いて調製したモノ(トリフルオロアセチル)誘導体を出発物として、グラミシジンSの2個のオルニチン側鎖アミノ基の一方だけがニトロベンゼンスルホニル基により活性化された誘導体を合成した。このモノ活性化グラミシジンSとα、ωーアルカンジアミンとの反応によって、メチレン鎖で架橋されたグラミシジンSの二量体の合成に成功した。各種のメチレン鎖長の二量体の抗菌活性および溶血活性についての予備試験の結果、トリメチレン体等の短鎖のものは抗菌性を示さなかったが、メチレン鎖長が長くなると、活性が回復する傾向がみられ、また二量体はいずれも強い溶血活性を示した。また、トリメチレン架橋二量体について、その立体構造を核磁気共鳴スペクトルにより調べたところ、β-シート型のグラミシジンS単位どうしが、ユニット間水素結合によって会合して、4本鎖型の高次構造を形成していることが確認された。 β-シート骨格を有する機能性分子の構築研究としては、2個のオルニチン側鎖アミノ基をビス(ピコリルアミノ)基に変換した誘導体を合成した。このテトラピコリル誘導体の溶液に亜鉛(II)イオンを添加していくと、単核錯体を経て、2個の亜鉛イオンを結合した安定な二核錯体を形成することを、スペクトル滴定により確認した。この亜鉛二核錯体は、RNAのモデル化合物のリン酸ジエステル結合を極めて有効に切断する触媒活性を有していることが確認された。
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