研究概要 |
キノン骨格を有する3H-ベンゾ[f]インダゾール誘導体の光および熱反応 置換1,4-ナフトキノン類とジアリールジアゾメタンの1,3-双極子付加反応により窒素をへてホモキノンと呼ばれるシクロプロパナフタレンジオンを与えることを見いだした。しかし、無置換1,4-ナフトキノンと上記ジアゾメタンの反応においては、脱窒素が起こらずピラゾリン骨格を有する3H-ベンゾ[f]インダゾール誘導体1が得られることを見いだした。この1はヒドロキノン骨格を有するため、容易に酸化されて相当するキノン誘導体(2)へ変換した。この両者の骨格の違いと熱および光に対する反応性の相違を検討したところ、1はメタノール中、高圧水銀ランプの光照射によって脱窒素しメトキシが導入したナフトキノン(3)が得られたが、系中にプロトン酸と水を共存させた条件下で光照射っを行うと3は全く得られずo-キノンメチド4が得られた。 一方、2をメタノール中で光照射すると、1の場合とは異なり、メトキシナフトキノン5が得られ1とは異なる反応性を示した。2をベンゼン中、光照射すると逆6π電子環化によるジアゾ化合物6と脱窒素環化生成物7が生成した。この反応の経時変化から7は2から直接えられるのでなく、6の継続光反応により発生するカルベンがベンゼン環のC-H結合に挿入し生成することがわかった。2をクロロホルム中で加熱するとジアゾ化合物6およびAlphen-Huttel転位によって生成したイミダゾール誘導体が得られた。パラ位の置換基を変えて同様の反応を行った結果、電子供与性の置換基ほどこの転位反応を促進することが明らかとなった。しかし、1は同様な条件下では熱反応は全く進行しないことがわかった。
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