研究概要 |
[2+2]光環化付加反応:種々のメターおよびパラー置換ホモキノンをエチルビニルエーテル存在下、光照射すると[2+2]環化付加生成物がレギオおよびendo選択的に得られた。その付加物はすべてアンチ型構造をとり、エチルビニルエーテルがホモキノンの立体障害のより小さい側から接近しシクロ付加したものである。付加に関与するホモキノンのC=C結合の置換基(CH_3,Cl, Br, CH_3O)にかかわらず、head-to-head型の付加配向が優先した。また、エチルビニルエーテルのEtO基がendo配向する付加体が主に生成した。一方、メトキシ置換基は1/5のexo体を副生した。また、Br置換[2+2]付加生成物は容易にジハイドロ_<-0->ベンゾキノンメチドとジハイドロベンゾフランに骨格転位した。以上、ホモキノンの光による[2+2]環化付加反応により新規な三環性骨格を高収率で合成できることが明らかとなった。 キノクラウンのディールス-アルダー反応:15-21員環のキノクラウンとシクロペンタジエンのディールス-アルダー反応におけるアルカリおよびアルカリ土類金属イオンの添加効果を速度論的に調べた結果、この付加反応の速度はサイズフィットしたクラウン環とイオンの組み合わせにおいて金属選択的に最高3700倍も加速された。この効果は1価のアルカリ金属より2価のアルカリ土類金属でより顕著となり、また、クラウン環の幾何学的配位構造にも依存することが明らかとなった。このカチオン認識効果は、キノンのLUMOエネルギー準位が金属を認識することにより低下し、シクロペンタジエンとの軌道相互作用が促進されるとして説明できる。
|