研究概要 |
前年度に、2-(1-ヒドロキシアルキル)-1,4-ナフトキノンとエナミンとの室温での反応で、1H-ナフト[2,3-c]ピラン-5,10-ジオン誘導体を合成できることを明らかにし、天然物合成に応用した。この反応を利用し、5-(1-ヒドロキシアルキル)-1H-インドール-4,7-ジオンから、1H,6H-ピラノ[3,4-f]インドール-5,10-ジオン誘導体を合成できることを示した。この骨格自体が新規である。 次に、2-アシル-1,4-ナフトキノンとエナミンからは、1-アミノ-9,10-アントラキノン誘導体が得られることを見いだした。この反応の中間体としてナフト[1,2-b]フラン誘導体の存在を明らかにした。この中間体の生成をTLCで確認した後、水を加え加熱することにより1-ヒドロキシ-9,10-アントラキノン誘導体へと、ワンポットで導けることを示した。本法は、従来法に較べて、一般性、選択性および簡便性の点で優れている。 さらに、このナフトフラン中間体にアンモニア水を加え、室温で反応を続けることにより、ベンゾ[g]イソキノリン-5,10-ジオン誘導体を、やはりワンポットで得ることができた。この反応は、アシルベンゾキノンにも適用でき、イソキノリン-5,8-ジオン誘導体の合成も可能なことがわかった。本法も、一般性、選択性および簡便性の点で、従来法に較べて優れている。 このほか類似誘導体として、7H-フェラレノ[1,2-b]フラン-7-オン、4H-フロ[3,2-c][1]ベンゾピラン-4-オン、4H-フロ[2,3-b][1]ベンゾピラン-4-オン、4H-フロ[3,2-c]キノリン-4(5H)-オンおよびフロ[2,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンなどの各誘導体を、いずれも簡便かつ一般的に合成した。
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