スチレンとメタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩とのソープフリー乳化共重合により、粒径が約0.2μmで、高表面濃度の活性エステル基をもつ単分散性の反応性高分子微粒子を合成した。合成したポリスチレン微粒子のカチオン電荷と一級アミノ基に対する高い反応性に着目して、主にガラス基板を用いた固/液界面での吸着法と結合法による超粒子組般体の構築について検討した。吸着法においては、ガラス基板を低濃度の添加塩(NaCl)を合む高濃度の微粒子水性分散液、ラテックス、に浸漬することによって、強固に吸着した安定な微粒子膜を形成した。さらに、吸着微粒子膜をアニオン性界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム水溶液に浸漬し、対イオン交換した後、ラテックスに浸漬する操作を繰り返すことによって、緻密な構造の微粒子膜を構築することができた。また、シリカ粒子を用いた場合にも、ラテックス濃度および添加塩濃度を調節することによって、シリカ粒子がほぼ完全に単層の微粒子膜で被覆された複合シリカ微粒子が得られた。一方、結合法においては、アミノ基含有シランカプリング剤によって表面処理したガラス基板を、高濃度の添加塩を合む、低濃度のラテックスに浸漬することによって、単層で、ほぼ最密充填した構造の微粒子膜の構築が達成された。アミノ基を含まないシランカプリング剤で疎水化処理したガラス基板に対しても、微粒子の吸着が起こることが見出された。この場合、ラテックスにカチオン性又はノニオン性の界面活性剤を添加すると、吸着が著しく抑制された。以上、本研究によって、ラテックス濃度や添加塩濃度(イオン強度)の調節、シランカプリング剤による表面処理、ラテックスヘの界面活性剤の添加などによって、ガラス基板表面上での微粒子膜の構築とその構造を制御できることを明らかにした。
|