研究概要 |
今年度は研究実施計画に沿って、ポリ-L-グルタミン酸の側鎖カルボキシル基の縮合剤を用いたアミド化によりピレニル基を約2%、ナフチル基を約98%導入したポリ-L-グルタミンを合成し、溶液系における側鎖アミド基水素結合を^1HNMRならびにFT-IRにより確認するとともに、フィルム系においてピレニル基が配向することを円二色性により確認した。ナフチル基からピレニル基への励起エネルギー移動が効率よく進行し、特に、アニールにより顕著にその効率が向上し、分子素子としての有用性が実証された。また、ピレニル基を50%、100%導入したポリ-L-グルタミンを合成し、円二色性において励起子相互作用を示すピレニル基間相早配向規制を確認し、外部消光剤による消光実験からピレニル基間の励起エネルギー伝達能を評価し、ピレニル基導入による励起エネルギー伝達素子としての有用性を確認した。また、量子受容基としてビオローゲン類似基、電子供与基としてフェロセニル基番導入した高分子を現在合成中であり、蛍光消光、励起寿命の測定により電子移動消米効率を検討し,ピレニル基とビオローゲン類似基、フェロセニル基との電子移動、ピレニル基間の電子伝達を評価する予定である。 また、イソタクチックポリメタクリル酸側鎖に同様にナフチル基、ピレニル基を導入したイソタクチックポリメタクリルアミドについても、側鎖アミド基間水素結合により二次構造が保持されると(この場合はピレニル基の配向が規制されないが)、ナフチル基からピレニル基への励起エネルギー移動が効率よく進行することを確認した。 これら高分子を、製膜、熱処理したフィルムにおける2次構造ならびに自己組織化構造を、DSC、X線回折等で、また、クロモホア配向を円二色性、巨視的異方性を直線二色性等から検証するとともに、分子力場計算により円二色性から推定されると二次構造の妥当性を検証し、クロモホア間励起エネルギー伝達・電子伝達と二次構造の関連を明らかにした。
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