研究課題/領域番号 |
10650864
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
小平 俊之 福井大学, 工学部, 教授 (40020226)
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研究分担者 |
橋本 保 福井大学, 工学部, 助教授 (00198681)
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キーワード | ラジカル重合 / 環化重合 / 1,6-ジエン / α-置換アクリル基 / N,N-ジ置換アクリルアミド / tert-ブチル基 / 環化率 |
研究概要 |
共役性の高い非重合性の官能基を利用して、高重合性で高環化率のポリマーを与えるジエンの設計が可能であることを示してきた。本研究では、この考えの妥当性を確立するための一連の研究を行っている。昨年はそのような性質を有するジエンとしてN-フェニル-N-メタクリロイル-2-(メトキシカルボニル)アリルアミン(PMMA)及びその対応する1官能性化合物を合成し、後者は非重合性であるがPMMAは高重合性且つ完全環化ポリマーを与えることを示した。本年度は、N-フェニル-N-アクリロイル-2-(メトキシカルボニル)アリルアミン(PAMA)合成し、その環化重合挙動を検討した。PAMAの対応するモノエンの1つ、N-フェニル-N-アクリロイル-2-(メトキシカルボニル)プロピルアミンは高重合性を有すると考えられるので、PAMAはPMMAと構造が非常に良く似ているが、PMMAと異なり低環化率のポリマーを与えることが予想される。結果はこの考えと一致して、同条件下でPMMAが100%の環化率のポリマーを与えたのに対し、PAMAは55%と低環化率のポリマーを与えた。この結果は、我々がこれまでに提唱してきた考えの正当性を立証する根拠の1つとなることを示している。PAMAのように低い環化率のポリマーを生成するジエンを、高環化率ポリマーを与えるジエンに変える方法の1つに、かさ高な置換基を利用する方法がある。この方法の有効性を調べるため、PAMAのN-位の置換基をt-ブチル基に変えて得られるN-t-ブチル-N-アクリロイル-2-(メトキシカルボニル)アリルアミン(BAMA)を合成し、その重合性を調べた。分子内環化反応に不利な塊状重合においても環化率100%のポリマーが得られ、かかさ高な置換基の有効性も立証することができた。これらの結果は学会における口頭発表を済ませ、現在学会誌に投稿準備中である。今後は先に提出した申請書の計画に従い、さらに研究を展開する予定である。
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