| 研究概要 |
第一の目的は、共役性で非重合性の官能基を利用することにより、高重合性で高環化率のポリマーを与えるモノマーの設計が可能であることを検証することである。そのためにN-フェニル-N-メタクリロイル-2-(メトキシカルボニル)アリルアミンを設計した。このモノマーは予想と一致する環化重合挙動を示し、上述の考えの妥当性を立証した。
第二の目的は、2カ所で置換基の種類を種々変えることが可能な1,6-ジエンを設計し、置換基の環化重合挙動に及ぼす影響を検討することにより、高重合性で且つ高環化率のポリマーを与える1,6-ジエン設計の指針を得ることである。そのため種々の置換基をN-位とアルコキシ基に導入したN-置換-N-(メタ)アクリロイル-2-(アルコキシカルボニル)アリルアミンを合成し、その重合挙動から目的とする1,6-ジエン設計の指針を得た。
第三の目的は、上記2項の研究を通して設計可能となった、ラジカル重合で高度に環化した構造の規制されたポリマーを与える1,6-ジエンのアニオン重合を行い、成長末端における、活性種と対カチオン及び(または)モノマーとの相互作用を利用して生成ポリマーの構造を規制することの可能性を検討することである。そこで、完全に環化した5員環を繰り返し単位とするN-メチル-N-アリル-2-エトキシメチルアリルアミン(MAEA)及びN-フェニル-N-メタクリロイル-2-(エトキシカルボニル)アリルアミン(PMEA)のアニオン重合を検討した。MAEAでは、リチウム化合物により未閉環構造のみからなる高度にイソタクト型の立体規則性ポリマーを、Grignard試薬によりラジカル重合と同じ構造のポリマーが生成することを見出した。PMEAでは重合条件によらずラジカル重合と同じ構造のポリマーが生成した。成果は裏面記載のもの以外にも学会誌等へ発表予定である。
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