電子伝達機構を究明するために、前年度同様安定した大きな検出電流を得ることを目的とした。1つの方法として電極面積を大きくすることも重要であると考えた。電極として炭素繊維織布を比較対照として用いた。この電極においても、導電性高分子同様、その導電は共役π電子によって伝達される。ただし、この系では2次元で電子伝達される。ここではカーボン表面を酸素プラズマ処理することによって官能基を導入し、その表面に沢山の酵素を固定化した。その結果60μg/cm^2を越えるグルコースオキシダーゼ(GOD)を導入することが出来、高密度のGODを持つセンサーを作製することが出来た。これを用いるとグルコースに対し60μA以上の大きい検出電流を得ることが出来た。この結果、検出電流が膜表面積に大きく依存していることを確認した。一方、ドーパントの影響を除くために、ドーパントフリーのセンサーを作製した。すなわち、イソチアナフテンと[1-(2-カルボキシエチル)ピロール]とを9:1で共重合することによって、ドーパントフリーの導電性高分子を作製し、この導電体にGODを固定化しセンサを作製した。ドーパントフリーのセンサーでは、再現性の良い検出電流を得ることが出来た。これを用いて厚さに関して検討したが、検出電流は厚さに対して、極大値を持つことを認めた。
|