研究概要 |
高分子結晶中のアモルファス層:これまで作成してきたゴム弾性および絡み合い系の分子運動のシミュレーションプログラムを、絡み合いが高濃度に濃縮された系の応力や化学ポテンシャルの計算に適用できるように改良し、絡み合い濃度xを変えて一軸変形の剛性率Gを計算してGがxとともに急激に増大することを見出した。また、絡み合いが濃縮された系内のtrapped chainとfree chainの化学ポテンシャルμ_tおよびμ_fを計算し、μ_tは絡み合い濃度xとともに急激に減少するがμ_fは常にメルトと同じ値を取ることを見出した。これは、結晶化の過程でfree chainはアモルファス層へ急速に追い出されることを意味し、高分子結晶の高次構造(球晶など)の形成の原因であると考えられる。 アモルファスシリカ系:シリカガラスに対して,Feuston-Garofaliniにより提案された3体の相互作用を含むポテンシャルを用いて分子動力学シミュレーションを行った。粒子数1500個の系に対して周期境界条件を用いた。9000Kから出発して,段階的に200Kおきに各温度0.1nsずつ保持しながら冷却していった。その結果,温度の上昇とともにある温度までは体積が膨張するが,その後体積が極小値をとり再び膨張に転じるというシリカガラス特有の性質を定性的に再現することが出来た。さらに,等温圧縮率の温度依存性を計算した。その結果,Saito-Ikushimaがレイリー散乱の温度依存性から求めた等温圧縮率の温度依存性を定性的に再現することが出来た。
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