本研究では、大きくかつ安定した2次のNLO特性を有するポリマーの分子設計に対する新しいアプローチとして、主鎖に対して垂直の方向に配向した遷移モーメントおよび双極子モーメントを有するNLO基を直接にポリマー骨格に固定した新規なポリマーを創製した(この場合、主鎖中のベンゼン骨格はNLO色素の一部となる)。主鎖骨格には、さらにより剛直であるイミド結合(ポリイミド)およびポリ尿素結合を導入して、それらのポリマーによるより高温で安定でかつ失活しない第2次高調波発振や、より高性能の電気光学変調特性を有するエレクトロオプティクス素子の構築を目指し、本研究の目的を達成した。 1.NLOポリイミドでは、配向したNLO色素の顕著な緩和抑制が示された。 2.NLOポリ尿素ではガラス転移点が比較的高いのもかかわらず、配向した色素の配向緩和抑制効果は小さことが示された。 3.熱刺激電流/緩和マップ(TSC/RMA)測定を用いて、NLOポリ尿素の色素の緩和現象の詳細な解明を行った。 4.延伸による屈折率の異方性制御を行った。NLOポリ尿素の第2次高調波発振ならびにその高温安定性を検討した。 最後に本研究全体のまとめを行い、将来へ向けた研究の新たな展開の指針をはかった。
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