研究概要 |
本年度は、コロイドスラスタの加速原理に基づきシミュレータの設計を行い、一次試作機を製作して予備実験を実施した。シミュレータは、今回の研究費で購入した直独0.396mmのタングステン線の一次電子源ヒータ、厚さ1mm直径30mmのステンレス製の電極3枚(電子加速用2枚、帯電粒子加速用1枚)及び電極間の絶縁材であるマコールで構成されている。ヒータ電源及び電子加速電源は既存の直流電源を、帯電粒子加速電源は今回の研究費で購入の高電圧直流電源を使用した。加速粒子は研究費で購入の直径50,100,500μmの炭素粒子を使用する。加速粒子の測定には当初予定のレーザー方式のものが研究費削減で購入不可能となったため、代替え案として精度は落ちるが、静電誘導方式のものを考案し製作した。測定出力電圧は今回購入のアンプを通してパソコンに取り込む。実験は本研究室における直径6OOmm,長さ1000mmの真空槽において抽拡散ポンプと油回転ポンプにより8×10^<-4>Paの真空環境下で実施した。予備実験の結果は、今回初めての試みということもあり、設計上の問題点が明らかになり、粒子加速には至らなかった。しかしながら、問題点の考察といくつかの改良試験により改善策の方針がたてられ、来年度はその方針にそって二次試作機の製作・実験を試みる予定である。なお、一次試作機の設計及び予備実験結果については後述の宇宙輸送シンポジウムにて発表を行った。
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