三次元比抵抗探査の有効性を評価するため、現実に近い三次元構造を模擬した数値実験を行った。その結果、一般的な三次元構造のもとでは三次元探査の方が解析精度・分解能とも二次元探査よりもはるかに優れていることが明らかになった。二次元探査により浅部の比抵抗境界や三次元異常体を把握することは可能であるが、浅部の比抵抗分布が複雑な場合には深部に偽像が現れ、深部構造の解釈を誤る可能性が大きい。比抵抗法探査では地表近くよりもある程度深部を調査対象にする場合が多いので、三次元探査を実施することが望ましいケースは多いと考えられる。本実験では三次元探査のデータ取得方式として主に'並行複線型'を想定した。この方式は二次元探査方式を三次元に拡張したもので、従来の測定方式をそのまま継承できるので、一般的に受け入れられやすいと思われる。この方式に関して、実験により明らかになった点は次の通りである。 1.地表近くの比抵抗異常はアンダーサンプリングでなければ電極配置にあまり関係なくほぼ完全に再現することができる。しかし埋没異常体に対する分解能については電極配置によってかなりの差が認められる。 2.データの誤差が同じ程度であれば、ダイポール・ダイポール配置の方が二極法配置よりも優れている。 3.二極法配置の場合、埋没異常体に対する分解能を向上させるため、主要測線の他にそれと直交する測線を加えることが望ましい。
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