最初に比抵抗三次元逆解析について次の3点の改良を行った。その第一は、フォワード計算における反復解法をSOR法からICCG法に変え、収束判定のしきい値を十分小さくして計算精度の向上を図った。第二は、逆解析の反復ごとに複数回のフォワード計算を行って最適なラグランジ乗数を探索するように改良し逆解析の安定化を図った。第三は、先験的情報を逆解析課程に導入するため、従来の平滑化拘束に加えて初期値拘束を組み入れた。これにより三次元逆解析の精度を従来より大幅に改善することができた。次にこの解析プログラムを用いて、現実に近い三次元構造を模擬した三次元探査の数値実験を行った。その結果、二次元探査により浅部の比抵抗境界や三次元異常体を把握することは可能であるが、浅部の比抵抗分布が複雑な場合には深部に偽像が現れ、深部構造の解釈を誤る可能性が大きく、したがって一般的な三次元構造のもとでは三次元探査の方が解析精度・分解能とも二次元探査よりもはるかに優れていることが明らかになった。三次元探査のデータ取得方式に関して、実験により明らかになった点は次の通りである。 1.地表近くの比抵抗異常はアンダーサンプリングでなければ電極配置にあまり関係なくほぼ完全に再現することができる。しかし埋没異常体に対する分解能については電極配置によってかなりの差が認められる。 2.データの誤差が同じ程度であれば、ダイポール・ダイポール配置の方が二極法配置よりも優れている。 3.二極法配置の場合、埋没異常体に対する分解能を向上させるため、主要測線の他にそれと直交する測線を加えることが望ましい。
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