平成10年度における試験研究では、従来の石灰中和の代わりに酸化マグネシウムあるいは水酸化マグネシウムによる中和法と、それによって得られる殿物特性との関連性を検討した。 先ず、坑廃水処理における酸化マグネシウムの粉末添加法と水溶液あるいは懸濁液による中和法では、中和殿物と坑廃水に含有する硫酸イオンとカルシウムあるいはマグネシウムイオンとの相互作用が異なることによる影響を検討した。マグネシウムによる中和法ではカルシウムの場合と異なり石膏の生成がないため従来法とは真なり、沈降特性の良好な殿物を得た。これは石膏沈殿の生成の有無が原因であると結論された。次に、従来法の中和殿物に対して別の殿物あるいは微粒子を添加するすることにより沈降特性を向上させるものであるが、ここでは添加粒子の界面特性などが殿物の沈降特性に影響する因子としてヘテロ凝集現象からの観点から検討した。中和殿物はpH中性付近に等電点があり、酸性懸濁液中マは繊維状のMgAlSiスラグにより殿物が微粒子で希薄であっても除去することが出来た。また上記スラグを表面処理することによりpH中性付近の懸濁液においても完全除去が迅速におこなえることが明らかになった。以上の研究は所定濃度、組成の人工廃水を用いてビーカーテストをおこない、生成された殿物に対して沈降性、殿物密度、結晶化度などの特性を測定した。殿物と共存する多種のイオンはイオンクロマトグラフによって種類および濃度を分析し、殿物特性の特定イオンによる影響を検討した。
|