研究概要 |
I. イネMUtatorトランスポゾンの特徴付け(平成10年度) 1. 北海道系統のゲノミックライブラリーからの自律性因子の検出 A1(赤毛)ならびにA23(赤毛由来のd-1^+遺伝子を失った変異体)のゲノミックライブラリーから末端反復配列(TIR)や内部トランスポゼース領域(TNP)に相同性を示したクローンを得ている.これまでに内部多型を有している自律因子クラスのクローンが得られており,現在トランスポゼースと推定されるORF内部配列の塩基配列の解析を行っている. さらに,I-PCRによって新たな6クローンの周辺領域をクローニングした.この塩基配列の特徴ならびに標的配列にはconsensus配列がみられないことから,RMuトランスポゾンの挿入はランダムであると考えられている.また,1クローンについては挿入配列のクローニングもすんでおり,構造的特徴付けをすすめている.TIRについてはおよそ80(左側末端部)ならびに60%(右側末端部)の相同性を示した. 2. 北海道系統を供試した形態,生理,ならびに分子的突然変異体の検出 個体レベル:自殖後代における形態的突然変異体を検出する.Muトランスポゾンはプロモーター領域に挿入しやすいことが報告されており,新たな変異源として形態発育異常を含む遺伝子の解析を行うことができると考えられる.今年度は,高次節間における分げつの発生から穂において籾のサイズが極端にかわる変異体ならびにアルビノ変異体を得た.現在,RMuトランスポゾンのこれらの個体における転移を調査中である.
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