1.昨年度はLea遺伝子の乾燥耐性に対する関わりを明らかにするため、ナタネ、ハクサイの花粉由来胚を用いLea遺伝子の発現の局在性をin situで調査し、Lea遺伝子(ME-leaN4)は、乾燥耐性胚においてのみ発現がみられることを明らかにした。今年度は引き続き種子胚でLea遺伝子の翻訳産物の発現を調査したところ、受粉15日後の胚(球状胚〜心臓型肝)では発現が見られなかったが、受粉30日後の胚では全体に発現が見られ、特に表皮及び胚軸中心で強い発現が見られた。完熟期の胚では発現が強まり、最外層の細胞で強いシグナルが見られた。これら種子胚で得られた結果はABA処理で乾燥耐性を獲得した不定胚と同様であり、Lea遺伝子が胚の乾燥耐性に関与していることを強く支持した。 2.高発現プロモーターにLea遺伝子(Me-leaN4)をセンスとアンチセンス方向につないだキメラ遺伝子をタバコに導入した形質転換植物を作成し、現在M1種子を得ている。また、同様の遺伝子をシロイヌナズナに導入した植物も得ている。これらの浸透圧耐性の解析は現在調査中であり、来年度に結果が出る予定である。 3.乾燥耐性胚と感受性胚を電子顕微鏡観察したところ、乾燥感受性胚は乾燥によって表皮や内部組織の崩壊が見られたのに対し、耐性胚は胚の組織構造が保持されていた。
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