1.恒常的発現プロモーター(CaMV35S、pMAT)にナタネのLea遺伝子(ME-leaN4)をセンスとアンチセンス方向につないだキメラ遺伝子を導入した形質転換タバコM_1植物について、Lea遺伝子の発現と浸透圧ストレス耐性を調査した。Leaが導入されていることが確認されている形質転換体のほとんどで恒常的なLea遺伝子の発現が見られた。乾燥耐性を灌水を停止する方法で調査したところ、pMAT::ME-leaN4を導入した一部の個体について乾燥耐性が強まる傾向が見られたが、他では見られず明確な証拠を得ることはできなかった。水耕栽培でNaCl耐性を見たところ、1.0%NaCl処理で非形質転換体が生育阻害が見られたのに対し、センス方向のLea遺伝子を導入した植物は生育阻害が見られず、NaCl耐性を獲得していることが示唆された。 2.ME-LeaN4遺伝子のプロモーター領域を単離した。決定した323bpの塩基配列中に、ABRE(ABA response element)と思われる領域が2カ所存在することが明らかとなった。その領域内に突然変異を入れGUS遺伝子をつないだキメラ遺伝子をタバコに導入し、プロモーターの発現誘導を一過性の発現を見ることで調査した。その結果、本プロモーターは、ABA、ソルビトール、NaCl処理で発現誘導されること、また突然変異を入れたプロモーターはそれらの処理による発現誘導が低下することが明らかとなり、本領域がABREであることが確認された。
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